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文:落合由希
写真:学生の窓口編集部
2018年10月26日(金)、東京・株式会社FiNC Technologiesのイベントスペースにて、マイナビ学生の窓口が主催するお笑いコンテスト『ほっとけない学生芸人GP 2018』が開催されました。応募総数52組の中から厳選された総勢10組の学生芸人が集結し、グランプリを賭けて熱き戦いを繰り広げました。
▼審査員・ラリー遠田が今大会を振り返って……
限度を超えていた男~ラリー遠田がみた『ほっとけない学生芸人GP2018』
客入れなしの会場で、
緊張感に包まれる中スタート
ひたむきにお笑いに取り組む学生芸人、そして学生芸人界全体を盛り上げたいという思いから「応援したい」を軸に開催されることとなった本コンテストは、その名のとおり「ほっとけない」が審査の基準。多彩な豪華審査員の方々が、それぞれの基準で「ほっとけない」と思った芸人を選出することが特徴です。
この日のMCを務めたのは、帝京大学お笑いサークル「ア☆テンション」所属の山口晶さん(写真左)とマイナビ学生の窓口編集長(写真右)。
そして審査員として、お笑い評論家・ラリー遠田さん、お笑いイベント制作会社 K-PRO代表・児島気奈さん、SKE48・須田亜香里さん、平成ノブシコブシ・徳井健太さん、ナイチンゲールダンス・ヤスさんが紹介され、残念ながらイベントには参加できなかったおばたのお兄さんからは学生芸人へビデオメッセージ送られました。
続いて、ネタ披露の前に緊張をほぐそうということで、会場提供元である株式会社FiNC Technologiesが普段から行っているという「ウェルネスタイム(専属のジムトレーナーによる体操の時間)」が実施されます。ストレッチで体をほぐしたあとは、株式会社FiNC Technologies・玉野井さんより、現在実施中のアフリカの子どもたちに給食を寄付するチャリティイベント「みんなのエアおにぎりキャンペーン」が紹介されました。
そして、いよいよ二次審査(決勝戦)のスタート! 披露するネタの制限時間は3分。優勝した組には賞金10万円と「マイナビ学生の窓口芸人」として最長1年間活動できる権利が得られます。さて、一次審査を勝ち上がった10組はどんなネタを披露していくのでしょうか。
1組目:オニイチャン「進路」
トップバッターとして登場したのは「オニイチャン」。ネタは、大学にも行かずマンガ家になりたいという息子に、母親がおもむろに昔話を語り出したかと思うと、突如息子が昔くれたお手伝い券を振りかざして大学進学を迫るというもの。エスカレートしていく母親の強引さが笑いを誘うコントです。
素晴らしいですね。『M-1』に優勝したときのフットボールアワーを彷彿とさせる。
「おまえは親の敷いたレールを歩け」って言われたときの顔が絶妙!
最初しんみりした感じだったので、どう展開するのかと思ったら……演技力にビックリしたし、おもしろかったです。
トップバッターでやりづらかったと思うんですけど、おふたりとも非常に演技がうまくて、安心して楽しめました。
出てきた瞬間は「お母さん、スネ毛ボーボーだな」と思ってたんですけど、ネタはめちゃくちゃ笑っちゃいました(笑)。
2組目:ねぎ
「ふゅっふゅっおじさん」
続いて登場したのは「ねぎ」。謎の「ふゅっふゅっおじさん」をテーマに、映像とコラボした斬新なトリオコントを展開します。
ネタの意味は全然わからなかったですけど、そういえばコレ、『ほっとけないGP』だったなって……(笑)。
もっとブッ飛ばしてもいいくらい。自分たちのやりたいと思ったことを大事にして続けていってください。
後ろのモニターに謎の映像が出てきて、最初「?」と思ったんですけど、最後はちゃんとネタに繋がっていてよかったです。
ネタの中に、自分が歌って踊れる曲が出てきてうれしかったです。ありがとうございました。
不思議な時間でした。自分が生きてるのか死んでるのかもわからないような……度肝を抜かされました。
3組目:超時空さをぴ
「超時空紙芝居」
3組目はピンの女性芸人「超時空さをぴ」。紙芝居風のイラストを使ったり、不思議な歌を歌ったりと、終始ハイテンションなフリップネタで審査員を圧倒します。
最高ですよ、ホントに。「理屈じゃなく笑える」というのは何万人に1人の才能だと思う。
ネタ前の雰囲気とネタ中の雰囲気が違いすぎて……。ビックリしたんですけど、「友達になりたい!」と思いました。
女友達が多そう。素晴らしかったので、このまま続けていってください。
最初どうなることかと思ったんですけど、見ていて引き込まれました。
4組目:ぱくぱくビスケット
「柔道の大会」
柔道の県大会という設定でのコントを披露した「ぱくぱくビスケット」は、勝つ気満々で試合に臨んだら、相手がまさかのめちゃくちゃ強そうな留学生で、その雰囲気にビビりまくったものの試合中にビザが切れるというありえない展開で幕を閉じます。
普通のお笑いコンテストのように冷静な気持ちで見れました。キャラクターを生かしたネタ作りがよかった。
見ているだけで楽しかった! 具体的にどこがいいとは言えないくらい……(笑)。
まさに「行間を読むコント」。いっぱいネタを見てみたいなと思いました。
「ジャパニーズ・ベイビー!」のくだりが一番おもしろかったです。
ネタとしてはよかったと思います。ただ、ツッコミの方の手の動きのほうがすごく気になってしまいました(笑)。
5組目:スレッジハンマー
「致死高」
5組目は「スレッジハンマー」。どのぐらい高いところから飛び降りれば死ぬことができるのかという、致死量ならぬ「致死高」を実験で調べたいという男に、「奇妙な言葉で奇妙な脅しをするな!」とツッコむセリフに爆笑が起きる漫才を披露します。
僕は非常に好きですね。自分たちだけの独特な考え方をネタにするのは一番難しいんですけど、ハマったら一番おもしろくて、それをできているのがすごい。
言葉にすごく力があると思います。ここまできて、ようやくしっかりとしたネタが出てきたなと思いました。
漫才をやってる人たちは、こういう偏った考え方を人に押しつけるべきだと思うんで、すごくいいと思います。
内容もおもしろかったんですけど、審査員のコメントを聞いているときに目がキラキラしていて、真面目でまっすぐな感じだったのがすごくよかったです。応援してます!
ボケとツッコミ、逆のほうがいいかも? ボケそうに見える方がツッコんでたので「え? そっち?」て思っちゃいました。
ここで前半の5組が終了し、これまでの感想を審査員に伺うことに。
いろんなキャラクターがいるので、審査をするのが難しいなと思いましたね。
自分の気持ちをしっかり持たないと何かに飲み込まれそうなので、気を引き締めていきたいです。
今日は推しメンを探すつもりで来たんですけど、今のところみんな推しメンにしたくて困ってます。
みなさんここまでネタを披露した学生芸人たちの出来栄えにかなりの手応えを感じているよう。
6組目:とれたて力
「少女漫画」
後半のトップバッターとなる6組目の「とれたて力」は、M-1の3回戦まで予選を勝ち抜いたという実力の持ち主。転校初日から遅刻しているのに夢日記をつけることは諦めない学生・春風が巻き起こすドタバタが爆笑を誘う漫才を披露しました。
ホントにしっかりしてて、おもしろさでは文句ないんですけど……、まぁたぶんほっとけるでしょうね。
ボケの方もツッコミの方もおもしろかったです。ずっとおもしろかったです。
プロの芸人と並んでも遜色ないようなうまさがありました。表情が豊かで、顔が「ほっとけない」感じ。
ホントにおもしろかったです。普通にのけぞって笑っちゃいました。
大勢のお客さんの前でやっても普通にウケると思う。すごく練習してるんだろうけど、その感じを出さずにやれているところもいいですね。
7組目:ヨシダin the sun
「商品開発会議」
7組目に登場したのはピン芸人・ヨシダin the sun。「商品開発」をテーマに、謎の玉を手にくっつけてスーツ姿で登場し「1日分の栄養を入れてとは言ったけど、大きすぎる! もっと凝縮して!」「なんで手にくっついて取れないの? 何由来の成分なんですか!?」と開発者に怒りまくるセリフに、次々と爆笑が起こります。
ぜひとも芸人になってほしいと思いました。こちらの世界に来てください(笑)。
計算なのかわからないんですけど、出て来た瞬間からずっと気持ち悪くて……(笑)。でも憎めない感じが好きです。
「めちゃくちゃ頭いいのにイジられる」っていうのは芸人になったら速攻売れるパターンだから、芸人やったほうがいいと思う。
ホントに圧がすごい。こんなキャラクターあんまり見たことないなって思いました。
今日はちょっと緊張してたかな? ここまでガチガチな人間を見るのは久々で新鮮でした。ハマる人にはハマるネタですね。
8組目:キャラメルアンセム
「英会話教室」
続く「キャラメルアンセム 」は10組中唯一の男女コンビ。英会話教室で、女教師が初歩の初歩である「Banana(バナナ)」を生徒に言わせるのですが、何度言っても先生の望む「Banana」の発音ができない生徒がしまいには日本語の発音まで直されてしまい……という漫才を披露します。
男子ウケしそうな服で、どんな感じのネタなのかと思ったら、ギャップがすごくて、顔でも笑わせてくるし……引き込まれました。
ネタが慶応っぽいなというか、衣装なんかも含めて慶応のやり口ですね(笑)。もちろん褒めてます!
声のトーンや所作など、見せ方がプロに近い。安心して見られます。
ふたりともめちゃめちゃヘンな人だから、就職なんてせずに芸人を目指してください!
最近多い男女コンビの中でも個性がある。言葉の選び方が斬新でおもしろい。
9組目:グランフロント玉出
「消費者金融の電話」
9組目はピン芸人「グランフロント玉出」。なにやら電話で金の無心をしている男が、「ギャンブルがやめられなくて」など、およそそんな理由では貸してもらえないような理由ばかり並べ立てるという一人コントを披露。
いやぁ、革ジャンにジーンズ履いちゃうよね。わかるわかる。クズって言われて35歳くらいで才能を認められるタイプだと思う。
見た目の雰囲気やキャラクターとネタが合ってる。普段もこんな人なんじゃないかと思わせる怖さもある一方で、愛されるキャラクターだと思います。
リアルなクズ感が透けてみえる感じがよかった。「ヤバい人を演じているヤバい人」な感じがして、非常に好きですね。
この短時間で典型的なダメ男を見せてもらいました。すごくリアルだったので、これが演技ならすごいし、逆に演じてないんだとしても、自分をさらけ出せるのはすごいと思います。
NSCのクラスに1人はいるタイプ。こういう人の牙は抜いてもらいたくないし、そのまままっすぐいってほしい。芸人には愛されるんですよ、こういう人は。
10組目:ダンディーボイス
「ダンディー漫才」
トリを飾ったのは「ダンディーボイス」。ダンディーな声の調子で『ドン・キホーテ』の店内ソングを熱唱したかと思うと、ダンディーに決闘をしたりと、とにかくダンディー縛りの漫才を披露します。
おもしろかったんですけど、左の子……ダンディーじゃないよね(笑)?
POISON GIRL BANDやスリムクラブに似たものを感じる。もっと変わったことをやってもいいと思う。
私は小さい頃からポケモンのゲームをやっていたので、そのネタがおもしろかったですし、ときめきました。
「ダンディー」というイメージと、「ポケモン」という題材とのギャップがおもしろかったです。このまま歳を重ねて、本当にダンディーになっていく姿を応援していきたいなと思いました。
キャラクターをここまで作り、その中でネタをやりきるっていうのはすばらしい。非常に質の高いネタだったと思います。
そして運命の結果発表のとき……
すべての出演者がネタを披露し終わったところで、学生芸人に感想を聞きつつ、審査員は「ほっとけない」と思った学生芸人をそれぞれ1組ずつ選ぶことに……それでは、結果発表!!!!!
……の、その前に!
という本番前に仕込まれた「新喜劇的なあれ」にちゃんと応じてくれる学生芸人たち(笑)。
審査結果の発表の前には、一次審査の「動画視聴回数トップ賞」として超時空さをぴさんが選ばれ、賞金3万円を手にしました。残るはいよいよ優勝者の発表のみです。気になる投票結果は……
▲投票結果(写真左から):ラリーさん「ヨシダin the sun」/児島さん「とれたて力」/ヤスさん「ヨシダin the sun」須田さん「スレッジハンマー」/徳井さん「とれたて力」
サドンデスにまで持ち込まれた審査の結果、見事接戦を制し優勝したのは「ヨシダin the sun」さんとなりました!
うれしさのあまり、思わず須田さんに握手を求めるヨシダin the sunさんですが、握手の時間が長すぎて、しまいには他の学生芸人たちに引き離されるハメに……。
(握手したときの手は)いい湿り気でした(笑)。次にお会いするのはお仕事なのか、それとも握手会なのか……。楽しみにしています!
優勝者ヨシダin the sunの野望
「千葉大の後輩をアピールしたい」
そんな優勝者・ヨシダin the sunさんにミニインタビューを敢行し、受賞の喜びを語っていただきました。
「自分が優勝だなんて完全に信じられません。ずっとガチガチで『ラリーさんに推薦してもらったのに申し訳ないな』と思っていたので、優勝したのが自分で大丈夫かな? という気持ちがメチャクチャあります。でも、実力者が並ぶ中で選んでいただいて、本当にうれしいです。」
――緊張しながらネタを披露したところも「ほっとけない」感が出ていたのでは?
「そう思っていただけるとありがたいです……。(自分の)出番直前の『とれたて力』さんがメチャメチャ素晴らしい漫才をされていて、それを見ていたときが緊張のピークで、もう息もできないくらいでした。終わって賞もいただいて、ちょっと肩の荷が降りたかなという気持ちです。」
――賞金10万円の使い道は?
「ライブハウスを借りてお笑いライブを開催したい。自分が活躍したい気持ちや、緊張しないように練習したいという気持ちももちろんあります。でも、どちらかというと千葉大学の後輩たちをアピールしたい。彼らもなかなかおもしろいので、ライブを開催することで『千葉大にはもっとおもしろい奴がこんなにいるぞ』っていうことを伝えたいです。」
千葉大学のヨシダin the sunが1月5日に新宿バッシュ!で1日中行う予定の主催ライブ「ヨシダインザライブ」の情報を提供するアカウントです!
フォローしていただけると嬉しいです!よろしくお願いします!! #yinthelive
▲ライブについては、すでに実施が決定しているそう。その名も「ヨシダインザライブ」
審査員のコメントで特に心に残った言葉は「徳井さんに『台本が仕上がってる』と言われたこと」だそうで、「周りから愛されるとは思うけど、コントに食われ続ける人生になる」と言われたこともうれしかったんだとか。
とはいえ、現時点では大学卒業後にプロのお笑い芸人になる気はないそうで、「あんなに緊張すると精神的にもたないと思うので、普通に社会人になって、並行して何かおもしろいことができれば、というのが今の目標です」と、あくまで控えめなヨシダin the sunさんでした。
終始笑顔が絶えず、大盛況のうちに幕を閉じた『ほっとけない学生芸人GP 2018』。2019年に再び開催されることを楽しみにしています!